鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





「──私は、淀(よど)。


 初代番人の一人です」



 淀姫・・・・・・!


 彰さんとペアだった、もう一人の番人だ・・・・・・!


 絖覇もあたしの横で呆気に取られている。


 なんで・・・・・・淀姫がここに・・・・・・?



「なぜ、こちらにいるんですか?」



「──彼が、どうしても彼女に会いたいと言うから・・・・・・私も共に来たの」



 彼・・・・・・?


 淀姫は、視線をあたしの後ろへと移した。


 あたしたちもそれにつられ、そちらに目をやる。


 すると、そこには人がいた。



「彰! なにをしているの?


 ほら、挨拶しなさい」



「えっ・・・・・・?」



 今、『彰』と言った・・・・・・?


 驚いて声の出ないあたしたちに構わず、彰と呼ばれた彼は、渋々こちらに向かってくる。



「紹介します。


 彼は、私の弟で──同じ初代番人の、彰です」




 お、弟ぅ!?


 っていうより、やっぱり彰さんなんだ。


 あの、ムギの初恋の相手・・・・・・。



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