鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
やっぱり、結界をどうにかしないと・・・・・・!
この結界は強くて、中にいるのはムギのみ。
ムギ自身が、自分自身を他のものから断絶してしまっている。
まるで、この世界にムギしかいないとでも、いうように。
寂しい、どうしようもない『孤独』。
それが、胸を突き刺すようにして襲った。
ムギ・・・・・・あなたは本当に独りなの?
誰も、いないの?
「っ、全員の霊力を合わせれば、結界を破壊できるかもしれない!」
彰さんがそう叫ぶと、彼はすぐに自分の手に淡い光を点した。
淀姫も、両手に薄ピンクの光を点す。
あたしと絖覇も、それぞれの霊力を手のひらに集中させる。
──パアァア!!
まばゆい光が、あたしたちの全身を包み込んだ。
残り少ない霊力が、出ていく・・・・・・。
気を張っていないと、今すぐにでも身体の力が抜けて倒れてしまいそうだ。
でも、今は倒れちゃいけない。
なにがあっても、ムギを助けるんだから!
そう、自分に強く言い聞かせる。
(お願い! ムギ!
あたしたちを、中に入れて!
あたしはあなたを恨んだり、怒ったりしてない。
お願いだから、どうか!)
強く念じると、より一層光の輝きが強くなった。