鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
その時だった。
「そなたらは、何か勘違いをしていないか?」
低い声が、突然響き、あたしたちの緊張感が高まる。
この声は、もしかして・・・・・・。
「神様、ですか?」
ムギの真実を教えてくれた、神様の声と一致した。
「さよう」
直後に、ムギと彰さんの前に、神様が現れた。
神様は、ふよふよと空を浮かんでいる。
「あの、神様。
ムギは止めることが出来ました」
一応、現状報告をする。
絖覇に地面に立たせてもらうと、神様を見上げた。
「そのようじゃな。
魔物化していたが、瞳が元に戻っておる。
体内にあった、邪悪なパワーも、すっかり消え去っている」
顎に手を当てながら、神様はムギを見回した。
ほっ。
よかったぁ。
安堵感から溜め息が出てしまう。
魔物化してたのも、治ってるってさ。
これでもう、大丈夫だね。