鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




「なんとか、ならないの?」



「すまないが、こればかりは」



 神様は、真剣な顔つきでそういった。


 じゃあ、どうすればいいの?



「やっぱり、私は・・・・・・また、償いきれない罪を、犯してしまった・・・・・・!」



「っ、ムギ!」



 彼女の瞳が、グラデーションのように、徐々に紅くなっていく。


 このままじゃ、またムギが!!



「落ち着け!」



 彰さんが、なんとか押さえようとするも、魂だけの腕は、彼女を捕らえることは出来ない。




「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!!」



──バキバキバキバキッッ!!



「きゃあ!」



「逃げろ! 巻き込まれるぞ!」



「一旦、全員引け!」



 我を忘れ、声のかぎり叫んだムギは、霊力を爆発させた。


 いくつもの、数十メートルの高さもある、雷付きの竜巻を作り上げると、ムギはそれを四方八方に投げつけた。



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