鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
それでも、まだ軽かったのか、すぐに立ち上がれた。
「ムギ・・・・・・!」
「うわあぁぁぁぁあっ!!」
──ガシャァン!!
「おい! あれを見ろ!
ここに、魔物が潜入してきたぞ!」
番人の誰かがそう、叫んで、そちらを見ると、魔物はこちらに進撃してきていた。
もしかして・・・・・・ムギに吸い寄せられているの?
ムギが、魔物を知らぬ間に集めてしまっているの?
「皆さん! ムギはあたしが相手します!
魔物の方を頼みます!」
「「「「おう!!」」」」
番人たちは、あたしの叫び声にすぐに反応すると、そちらへと突進していった。
ここに残ったのは、あたしと絖覇、彰さん、淀姫だけ・・・・・・。
全員で、ムギを見つめている。