鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「ムギ・・・・・・もう、こんなこと止めようよ」
「・・・・・・・・・・・・」
あたしは、ムギに向かって歩き出す。
他の三人はなにも言わず、ただ見守っている。
「なにがそんなに悲しいの?
なにがムギをそんな風にしてしまうの?
みんな、ムギを必要としていて、みんな、ムギが大好きだって・・・・・・そう、言ってたじゃない」
ムギは、あたしに気づくと、攻撃を止めた。
そして、光なんてない、紅い瞳であたしを睨む。
あたしは不思議と──怖いとは思わなかった。
目の前にいるのは、ムギ。
いくら、姿などが変わったとしても、ムギであることに変わりはないから。