鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




「・・・・・・わかってるわよ。


 みんな、私を必要としてくれていることも、恨んでなんかいなかったことも」



「じゃあ、なんで・・・・・・?」



「私はもう、私自身を許すことは出来ないから・・・・・・!!」



「・・・・・・なら、魔物を止めて。


 ムギを必要としてくれている人たちが、あなたの大好きな人たちが、傷ついてしまう」



「・・・・・・もう、止まれない。


 どうしたらいいか、わからない!!」



──ゴウッ!



 再び竜巻が巻き起こり、ムギの攻撃はあたしを──直撃した。


 けれど・・・・・・。



「え?」



 あたしは、避けなかった。


 竜巻はあたしに直撃し、当たった瞬間、分裂した。


 痛みで思わずよろけてしまったけれど、しっかりと両足でそこに立つ。




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