鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 すると、神様は険しい顔をする。


 そして、あたしを睨みつけた。



「ムギはそれだけの罪を犯したんじゃ。


 罰があって当然じゃろう?」



「それはっ・・・・・・!」



 確かに、そうだけど・・・・・・。


 言葉に詰まってしまう。

 
 でも、やっとムギが幸せになれるのに・・・・・・。


 やっと、彰さんと会えて、番人たちとも気持ちが通じ合えたのに・・・・・・。



「厳しいことを言っているのはわかっている。


 ムギにあの運命を負わせてしまったのは、わしの責任じゃ。


 さっきそなたは『ムギはもう充分頑張った』と言っていたな。


 だから、解放するんじゃよ」



 その言葉は、ズシリと胸に重く、のしかかった。


 神様の言葉は、正しいのかもしれない。


 でも・・・・・・でも・・・・・・!



「ムギのために、それが一番最良じゃ」



「・・・・・・・・・・・・」



「罪を受ければ、彰と人生を共にできる」



「ッッ!!」




 下げられていたムギの顔が、突然上げられた。



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