鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 そっか・・・・・・。


 ムギは、番人たちから力をもらって、永遠に生きることができた。


 つまり、不老不死に近しい存在。


 死ぬことはできない。


 でも、今罪を受ければ、一度死に、彰さんと生きていける。


 ムギは、どこか嬉しそうだった。


 そうだよね・・・・・・。


 あたしが、幸せを望んでも意味はないんだ。


 ムギの幸せは、ムギが決めるのだから。


 彰さんと共に生きることが、ムギの幸せ。


 永い間、望んでいたこと。



「──わかりました。


 私は、罪を受けます」



「そうか」



 ムギは神様の足もとにひざまずき、頭(こうべ)を垂れた。


 神様は、ムギに手をかざした。





 そのまま、ムギは浄化されるはずだったのに。





「ミツケタ。


 ワレラノアタラシイ、ジョオウサマ」




──ドクン。




 ムギの鼓動が、大きく鳴った。






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