鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





「ぐわあぁあぁっっ!!」



「ムギ!」



 いったい、何が起こったの?


 突然、何かの機械音のような声が響き、ムギが絶叫した。


 暴れ、苦しんでいる。


 ムギの内側から、邪悪な霊力が溢れ出してくる・・・・・・!


 神様が、ムギに霊力をぶつけた。


 途端にムギは、力が抜け、糸の切れた人形のようにクタリと倒れてしまった。



「りんさーん!」



「魔物が一体そちらに!


 そいつが一番大きく、親玉のようです!」



 遠くで番人の声が聞こえたかと思うと、目の前が真っ暗になった。


 違う。


 何かが、あたしの視界を遮ったんだ。



「りん!」



 絖覇の叫び声がしたかと思うと、あたしは絖覇に抱き上げられ、その“何か”から離れていた。


 そして、遠くから見て、ようやく気づいた。



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