鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





「やめてえぇぇぇぇっっ!!」



 どんなに叫んでも、ムギは止まらない。


 ムギ・・・・・・ムギ・・・・・・。


 あんまりだよ。


 どうしてムギばっかりなの?


 ムギが強い力を持っているから?


 人に、優しいから?


 どうして・・・・・・。



『り、ん』



「え?」



 脳内に、誰かの声が響き渡る。


 この声は・・・・・・ムギ?


 
「ムギ? 聞こえてるの!?」



 声に出して叫んでも、ムギには届かないようだ。


 もしかして、ムギがあたしの精神に語りかけてくれている?


 あたしも目を閉じ、ムギとの会話に専念する。



『ムギ、もとに戻れないの?』



『・・・・・・がい・・・・・・を・・・・・・して・・・・・・』



『え?』



 まるで、ノイズがかかってしまったかのように、うまく声が聞こえない。


 強く、耳を押さえ、目を閉じる。


 お願い、答えて!





『お願い・・・・・・私を──殺して』




 え──?




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