鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 その言葉に、思わず耳を疑った。



『ムギ? もう一度言って!』



『────』



 ノイズがかかっていて、聞こえなくなってしまった。


 ムギは、ぎりぎりのところで、あたしに念話をしてきてくれたのだろう。


 完全に、念話は途切れてしまった。


 でも・・・・・・。


 あたしに、ムギを殺せというの?


 なんで・・・・・・?



「きゃああぁあ!!」



「姫が巻き込まれた! 誰か、治療に回れ! 


 俺らがムギをなんとしてでも、食い止めてやる!」



 番人たちはムギのために、自分の身を削ってまで頑張っている。


 ムギに頼まれた、最後の願い。




「──ごめんね、ムギ・・・・・・」




──ポオォオッ!



 右手に、残り少ない霊力が集まっていく。


 封印の鈴も、強く輝き始めた。



「りん! 俺の力も使え」



 隣にいた絖覇が、あたしの手を強く握り、そこから霊力が流れ込んでくるのを感じた。



 ムギ・・・・・・。


 今まで、本当にありがとう。


 お礼なんかにも、ならないけど・・・・・・。


 あたしが、ムギの最期をもらうから。



──ドン!



 あたしの手のひらから、集まった霊力の塊が、ムギに向かって放たれた。





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