鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
それから、どれだけ時間が経ったのだろう。
気がつけば、あたしは絖覇の腕の中にいた。
「りん・・・・・・目、覚めたか。
痛いとことか、ないか?」
「あたしは、大丈夫・・・・・・みんなは?」
あたしがいるのは、学校の校庭の木の下で、絖覇に抱き抱えるようにして、座っている。
「全員無事だ」
「よかった・・・・・・」
絖覇の言葉に、安堵感が心を満たした。
「──ムギは?」
「りんが、彰さんと共に、魂の集まる場所に送ったんだ」
「・・・・・・そっか」
「よく、やったな」
「うん、うん・・・・・・!」
絖覇の優しい声に、涙が溢れた。