鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






 夏休みが終わっても、まだまだ残暑が続いている。


 もー、なんとかならないのかな?


 遅刻しそうなのに、もう動くこともイヤになってしまって、廊下をダラダラと進む。


 ふに。


 Why?


 不思議な感触に、音がした下を見ると・・・・・・。



「ぎゃああぁぁぁっっ!」



 人が、倒れていた。


 
「だ、だ、大丈夫ですかっ!?」


 
 それに気付かなかったあたしは、倒れていた彼女を踏み付けてしまったらしい。


 慌てて彼女を抱き起こす。


 
「・・・・・・・・・・・・」



 けれど、返事はない。


 しかし、顔色もよく、寝ているだけのようだ。


 証拠に、



「・・・・・・むにゃ、・・・・・・くん・・・・・・」



 誰かの名前を呼んでいる。


 『くん』だし、彼氏とか?


 彼女をおぶり、保健室へと行こうとする。


 この子、ニヤニヤしてる。


 そんなに彼氏さんが好きなのかな。


 そして、彼女の次の言葉に衝撃を受けた。




「──こうはくん・・・・・・」




 ・・・・・・は?




< 410 / 445 >

この作品をシェア

pagetop