鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 なに、誰!?


 考える間もなく、抱きすくめられてしまう。


 知らない人・・・・・・?


 知らず知らずのうちに身体が震え出す。


 だけど・・・・・・。



──ふわり。



 心地のよい、大好きな香りが鼻をくすぐった。



「──ったく、なんで逃げんだよ」



「・・・・・・だって」


 耳もとで、低い声でささやかれ、耳が熱を帯びていく。


 バカ・・・・・・。


 なんで、いるのよ・・・・・・。



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