鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 絖覇に身体の向きを変えられ、あたしは絖覇と向き合う格好になった。


 マゼンタの愛しい瞳と視線がぶつかる。


 
「そんなの、どうだっていいじゃねぇか」



「・・・・・・はぁ?」



 なんで?


 
「んなの、りん、お前しか知らないこと、他にもあるだろ?」



 あたししか知らないこと・・・・・・?


 絖覇は、唇が付きそうなほど、自分のそれを寄せる。


 なに、して・・・・・・。



「俺が、本気になるときの顔」



 チャラ男口調から、突然低いカッコイイ声になって、ドキリと胸が高鳴った。


 確かに・・・・・・。


 絖覇は基本、チャラ男。


 低い、真剣な声を出していたのは、戦いのとき。


 
「俺が本気になるのは、りんしかいねぇんだよ」



 そういうと、彼はあたしの唇を一瞬で奪った。


 甘いそれに酔いそうになる。



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