鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 そのときは嬉しさで、狂いそうだった。


 でも、俺の中にはキースという、冷酷非道なものの魂が宿っていたんだ。


 すずかに近づきたくても、近づけない。


 触れたいのに、触れられない。


 そのとき、ようやく知ったんだ。


 鈴姫のことも、愛しているが──同じくらい、すずかのことを愛しているということを。


 俺たちは何度も、何度も、遠回りをして、ようやく結ばれた。


 そして、りんが生まれて幸せに、暮らしていたのに・・・・・・。





 すずかが、意識不明になった。






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