鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「すずか・・・・・・」
声も掠れて、うまく喉から出てきてくれない。
「千・・・・・・」
彼女はそういうと茶色の瞳を細め、うっすらと、それでも確かに笑った。
「すずか・・・・・・!」
無我夢中で、彼女の身体を抱きしめる。
弱々しくだけど、彼女も抱きしめかえした。
これが、現実だと、確信したくて。
夢なんかじゃないと、思いたくて。
すずかが抱きしめてくれていることで、これは現実なんだと、知ることができた。
夢じゃ、ない。