鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~



 そのせいで、お母さんの部屋はまばゆい光が溢れている。



 ゆっきーも何度も呼びかけるけど、お母さんは目覚めない。


 まるで眠っているかのようにしか見えないのに・・・・・・。


 そんなお母さんの隣では・・・・・・。



「すずか・・・・・・すずか・・・・・・!」



 うわ言のようにお父さんがお母さんの名前を呼び、お母さんを抱きしめている。


 その姿を見て、胸が締め付けられた。


 あんな弱々しいお父さんは初めて見た・・・・・・。


 いつもは堂々としていて、不安げな顔なんて見せたことないのに・・・・・・。


 



 それからどんなにアンゼリカさんが強い目覚めの歌を歌っても、みんなが呼びかけても、お母さんが目覚めることはなかった──・・・・・・。





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