鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




「絖覇・・・・・・来ていたのか」



 お父さんはわずかに目を見開いて、絖覇を見つめた。



「あ、お邪魔してます」



 絖覇はそんなお父さんに対して軽く頭を下げる。


 っとにチャラいんだから・・・・・・。



「まぁ、いい。


 絖覇にも話しておこう。


 ちょっと話があるんだ。


 下の居間に来てくれないか。


 落ち着いたらでいいから」



 「じゃあな」とお父さんは言って、階段を下りていった。


 足音が聞こえなくなるまで、どちらとも話さなかった。


 遠くの方で、ガチャリとドアの閉まる音がすると、絖覇がこちらを向いた。



「さっき、なにか言いかけてたよね?


 何のこと?」



「それは・・・・・・驚かないで聞いてくれる?」



 ようやく身体を起こすことができたあたしは、ベッドを下りてソファに座ると絖覇と向き合った。



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