鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




「いつも、いつも、からんでくるのやめてよね」



 
「え、やだよ」



「はあ?



 あたしのほうが嫌なんだけど」



 絖覇を睨むと、彼はニンマリと微笑んだ。



「だって俺、りんと一緒にいたいんだもん」




 はぁ・・・・・・。


 あたしはあんたの姉じゃないのよ!


 そういいたいけど、言ってもかわされてしまうだろう。


 いっつもあたしが負けてしまう。




「とにかく、急ごう。



 遅れる!」




「え、ちょっと。  きゃっ」



 絖覇は軽々あたしを抱き上げると、全速力で走りだした。



「ちょっと、やめて!


 またみんなに誤解されるっ!」


「そんなの俺、気にしないし!」



 あんたがよくても、あたしはイヤ!



 この前も、遅れそうになって絖覇があたしを担ぎ上げて学校に行ったとき。



『ねぇ、ねぇ!


 二人って、付き合ってるの?』


『は?』



『だって、いつも一緒だし、さっき椿君がりんちゃんのこと、お姫様抱っこで連れて来てたじゃん!』



『違う違う違う!


 あたしとあいつはそんなんじゃない!』



 教室に入った途端、質問ぜめで困ったんだから!



 けれど抵抗も虚しく、あたしは絖覇に担ぎ上げられたまま、学校へと来てしまった。


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