鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
それからあたしは、今日一日あったことを話した。
霊力や魔物のことは避けて・・・・・・。
話が終わるまで、絖覇は動かずにあたしを見つめたまま話を聞いていた。
「──そうか、そんなことが・・・・・・」
「・・・・・・うん」
話終わると、部屋の雰囲気がシン、と静まり返ってしまったような気がした。
「お父さんは、お母さんは眠っているだけって言ってる。
確かにそう見えるけど・・・・・・」
それでも、不安で仕方ない・・・・・・。
ジワ・・・・・・と涙が滲みかけて、慌てて服の袖で拭う。
それと同時に、身体が引き寄せられた。
気付けばあたしは、絖覇の腕の中にいた。
「絖、覇?」
「りんには、俺がいるから大丈夫だ」
耳もとでそう囁かれ、今までにない感覚が、身体を突き抜けた。
なに?今の。
ドキッて胸が、高鳴った?
なんだか、いつものチャラい絖覇じゃないみたい・・・・・・。
って何考えてるの?
こんな時に!
慌てて抵抗しようとするけれど身体に力が入らなくて、しばらくの間、あたしたちの格好はそのままだった。