鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 それから、あたしたちは無言のまま、お父さんの待つ居間へと降りていった。


 お父さんは居間のソファに座っていて、こちらに気づくと顔を上げると、手招きをした。



「りん、絖覇・・・・・・ここに」



「うん」



 二人で、お父さんの向かい側に座る。



「すずかのことは、りんに聞いたのか?」



 お父さんは静かに絖覇に喋りかける。



「ああ。


 ・・・・・・眠っているだけと言うのは本当ですか?」



 絖覇はコクリと頷く。


 あたしも気になってた。


 お母さんは、本当に眠っているだけなの?



「それは本当だ。


 霊力ですずかの身体を調べてみたが、損傷などはどこにもなかった。


 アンゼリカにも聞いたから、間違いない」



 そうなんだ・・・・・・。


 その言葉にひとまず安心する。


 けど・・・・・・。


 隣では、



「れいりょく・・・・・・?


 アンゼリカさんって、医者のことですか?」



 絖覇が目を白黒させて、首を傾げていた。


 やば・・・・・・!


 絖覇は霊力とか知らないんだった!


 
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