鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
どうしよう、どうしよう!
なんて説明すれば・・・・・・。
冷や汗がダラダラと背中を伝う。
けど、お父さんは表情を変えない。
「絖覇・・・・・・
とぼけなくても、いいぞ。
わかっているだろう」
・・・・・・へっ?
絖覇が霊力とか知ってるってこと?
絖覇の顔を見ると、いつもの不敵な笑みを浮かべた。
「あや、バレちゃったか。
さすがは千さんですね」
そういって彼は、黒縁の眼鏡を外した。
途端にブワリと彼の身体から、凄まじい霊力が溢れて来る。
この強さ・・・・・・!
お父さんと同じか、それ以上・・・・・・!
「っ・・・・・・!」
そして、その彼の顔を覗き込んで、息が止まった。
その眼鏡の奥にあった瞳は、いつもの漆黒ではなく、マゼンタ色に怪しく輝いていた。