鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「それより、千さん。
話ってなんですか?
話があって、俺たちを呼んだんですよね」
絖覇は真剣な顔つきになると、お父さんが頷いた。
「絖覇が霊力があるということに気づいてから、二人に話そうと思ってた。
りん、伝説の鈴のことは知ってるな?」
「え、うん」
突然話を振られて、慌てて頷く。
「伝説の鈴は、奇跡を起こせる力、希望の力なんだ。
大切な人を助けたい、守りたいという想いにだけ反応し、力を発揮する」
ということは・・・・・・!
「その伝説の鈴を探し出して、お願いすれば、お母さんは助けられるってこと!?」
お父さんは頷いた。
そうか・・・・・・。
忘れてた。
お母さんの記憶を受け継いで、伝説の鈴のことは知ってたのに、なんで思いつかなかったんだろう。
それで、お母さんを助けられる・・・・・・!
「それで、二人に伝説の鈴を呼び出すために霊力を借りたいんだ。
彼女をこの世界に呼び出すのは、膨大な霊力が必要になる」
「いいに決まってるよ!」
「俺も喜んで貸します」
「・・・・・・ありがとう」
お父さんは何度もあたしたちに頭を、下げた。
そして、話し合いの末、明日この居間で呼び出すことになった。
それまで身体をしっかり休め、霊力を極限まで高めておくように言われた。