鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
外に出ると、空が赤く染まっていた。
絖覇を送っていくため、ついて来ている。
絖覇は「来なくていい」とか言ってたけど、これから手伝ってもらうんだし、すぐそこだから。
「それにしても、絖覇が霊力持ってるなんて、ビックリだなぁ~。
絖覇のおじさんとおばさんは知ってるの?」
ユラユラと熱気で蜃気楼のように遠くが揺れている。
「いーや、あいつらは知らねぇよ」
彼はあたしの後ろから、頭の上で腕を組みながら歩いている。
歩き方までチャラい・・・・・・。
「なんか、気づいたらこの力はあったし、あいつらは霊力なんて持ってない普通のやつだし」
ずっと、誰にも言えなかったのかな。
一人で悩んだりして、孤独だったりしたのかな。
いつも友達に囲まれている彼が、そのときは一人でぽつんと立ち尽くしている姿が脳裏に浮かんだ。
「絖覇・・・・・・!」
「っ!? どうしたんだよ」
あたしは、絖覇に抱き着いていた。
もう、一人で悩まなくてもいいんだよ、って言いたくて。
傍にいるからって。
絖覇は、しばらく呆気に取られていたものの、ポンポンとあたしの頭を撫でた。
「りん・・・・・・
なんか、積極的じゃない?」
「へぇっ?」
何言ってるの!?
慌てて絖覇の身体を押し飛ばすと、絖覇はニヤッと笑った。
あ゙━━━━っ!
なにやってんの、あたし!
顔がカッと熱くなる。