鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
伝説の鈴が、お母さんの額に手を置き、あたしはその前で手を組んで足もとへしゃがみこんだ。
「──それでは、始める」
伝説の鈴の掛け声と共に、あたしは霊力を集中させて祈った。
(お願いします。お母さんを、どうか助けて・・・・・・!)
あたしたちを光が包み込んで、淡くぼんやりとしていたそれは、だんだんとお父さんたちさえも包むほど大きくなって、強く輝き始めた。
(お願い、お願い!)
ギュッと目を強くつむって、祈り続ける。
(お願い、どうかお母さんを助けて! また、あの笑顔が見たいから!)
──バアアァッ!
光が弾けると、伝説の鈴の身体が虹色に光輝いていた。
キレイ・・・・・・。
太陽のように、さんさんと輝いている彼女は額に置いた手に、霊力を集めた。
「黒木りんの願いによって、我がその願いを叶える。
黒木りんよ、彼女の願いによって、我の力は発揮される。
黒木すずか、この願いのもとに──目覚めよ」
──パァア!
彼女の手のひらから、彼女を包む光と同じ色の虹色の光が溢れ出した──
はずだった。