鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 この場にいた三人が、しばらくの間、身動きが取れなかった。



 伝説の鈴は、気を失うほど力を使った。


 けれど、目覚めないお母さん。


 

「おかしい・・・・・・」



 最初に沈黙を破ったのは、お父さんだった。


 その金の瞳は、明らかな迷いがあった。



「どういうこと?」



 あたしと絖覇で、お父さんを見つめる。


 
「こんなことは、今まで一度もなかった。


 伝説の鈴の力は・・・・・・強い祈りさえあれば、どんな願いも叶ったからだ。


 なのに、彼女が全力でやっても、すずかは目覚めなかった・・・・・・。


 彼女が言うには、力が使えなかった・・・・・・」



 なにが、起こってるんだろう・・・・・・。


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