鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
それから急遽アンゼリカさんを呼び、伝説の鈴を診てもらった。
数日もすれば、伝説の鈴は目覚めた。
けれど、まだ体調がすぐれなくて、起き上がるのが精一杯だった。
「あの・・・・・・大丈夫ですか?」
「ええ、アンゼリカの治療のおかげであと数日すれば治るわ・・・・・・」
キレイな顔をわずかに歪め、彼女は笑った。
彼女はあたしの部屋で休んでいて、あたしは彼女の世話をしていた。
──ガチャリ。
そのときドアが開いて、絖覇が軽い食事を持って入ってきた。
「大丈夫ですか? りんも、少し休め」
「でも・・・・・・」
「お前が倒れちゃ意味ないだろ」
「う・・・・・・」
絖覇は今、霊力を解放するために眼鏡をしていないため、マゼンタ色の瞳があたしを見つめる。
この瞳に見つめられると、何も言えなくなってしまう。
「りん・・・・・・絖覇・・・・・・」
「あ・・・・・・」
伝説の鈴が、身体を持ち上げこちらを向いた。
慌てて支えようとしたけれど、大丈夫だと強く言われて渋々また座り込んだ。