鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~

双子の番人





 それから、伝説の鈴の体力が戻って、あたしたちは過去に行くことになった。


 あたしには、お母さんの記憶はあるけど・・・・・・。


 実際に過去に行ったことがない。


 
 そして、ある日の午後、あたしたちは居間に集まった。



「気をつけろ」


「うん」



 お父さんはお母さんの傍にいるため、過去には行かないことになった。


 あれからお父さんに霊力の最終確認をしてもらって、準備はばっちり。


 絖覇も、眼鏡を外して霊力を全開にしている。


 
「そろそろいいかしら」


 準備をしていた伝説の鈴が顔を上げてこちらを向く。


 その彼女に向かって賛成の意味を込めて頷いた。


 彼女も、こくりと頷く。


「それでは、始める。


 ──我は伝説の鈴。


 この世の希望を司る神聖なる力を持つもの。


 我等を過去へと導きたまえ・・・・・・!」



 彼女が呪文を唱えると、ブワリと光が舞い上がった。 


 それはあたしたちとお父さんの間に壁を作る。


 あっという間にお父さんの姿は見えなくなった。



 行ってくるね、お父さん、お母さん。


 必ず、お母さんを助けるから。


 だから、待ってて──。






 そして、プツリと意識が途切れた。



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