鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
けれど、それは何なのか今のあたしにはわからなかった。
そして、そんなシリアスな雰囲気をぶち壊したのは、やっぱり絖覇だった。
「“あの双子に用がある”って、どういうことですか?」
・・・・・・いや、絖覇はいたって真剣なんだけど。
タイミングが悪いのよ!
「・・・・・・ああ、私はあの双子に守られているの。
私の力は強大過ぎる故、私を悪いことに使おうとする人もいるから・・・・・・そんな人から守るために。
彼女たちは不老不死だし、霊力も強いから。
代々私を守るために──生み出された『番人』たちの力はそれだけじゃない」
そういうと、ムギはまだ喧嘩をしていて、ついにお互いの頬をつねっていた双子に近づいた。
「二人とも、やめなさい」
「にゃによ!
わりゅいりょは、しょおだもん!
(何よ!
悪いのは、曾於だもん!)」
「ちゅがうよ!
しょにがわりゅいんだゃもん!
(違うよ!
曾爾が悪いんだもん!)」
「「にゃにお━━━っ!(何を━━━っ!)」」
二人は頬をつねったまま、そっちが悪いんだとムギに抗議する。
そして、互いが逆の事を言ったので、再びムギに向けていた黄緑色の瞳を自分の片割れに向けた。
それを見たムギは・・・・・・軽く溜め息をつくと、双子の肩に手を置いて、何かを呟いた。
──パアァァア!!
「「ッッ!」」
途端に双子とムギを白い光が包み込んで、三人が見えなくなった。
急に何が起こったの?
そして、光が弾けたとき、双子は・・・・・・白い光で出来た鎖(くさり)で拘束されていた。