こいつ、俺のなんで。
ある日のこと。
『清家くん。今日はもう終わりでいいよ。いつも頑張ってるんだし、今日ぐらいは帰って休みなさい。』
夜の7時頃に、部長にそう言われた。
この人は気さくで優しい人だから、俺も慕っていた。
「ありがとうございます。では、さようなら」
俺は部長に甘え、帰ることにした。
いつもより早ぇし、飯でも食って帰るか。
そう思い、俺は駐車場に向かった。
すると…
「………ん?」
俺の車にもたれかかって、スヤスヤと寝息をたてて寝ている女がいた。
黒く艶のある長い髪に、折れそうなくらい細い腕。
そしてその腕には、たくさんのアザがあった。
…誰かにDVでも受けているのか?
いつもは女に全く興味を持たない俺だったが、こいつには興味が湧いた。
こいつを守りたいとおもった。
俺はそいつを抱きかかえ、俺の車の助手席に乗せ、自分の家へと向かった。