切片詩集 限界セグメント
似非魔術師
繰り返し繰り返し
螺旋を描くようにまわりながら
またやってくるこの場所に
ある時は旅人のように
ある時は修行僧のように
ある時はトルバドールのように
いま僕はひとりの魔術師のようだ
ペテンともマジックとも
方術とも知れぬ感知されない力を
運んでいる術者
それがすべて幻術である
とわかっていても
その役割を演じる
すべてを幻滅させるために
失望と落胆を運んでくれ、と
君から頼まれたから
僕はその大いなるフォースを借りて
この運命にYESという
光と闇を等分に持つから
僕の栄光と凋落のギャップは
計り知れない
憧れを絞め殺し
裏切りを叩きつけ
また不意に銀色の光の業が
行われるその中にいる
ひっそりと
何もない場所から
放たれる無数の弓矢
誰かの密かな望みが叫びが的となり
派遣先は君の指定のまま
乙女が白い衣擦れの中から
黒い鎌を振り上げる
そんな光景を僕は愛する