切片詩集 限界セグメント



『指先』


血管と神経で織りなす指先を
君の体液にそっと浸してみる
静かな音が舞い降りる浜辺は
粉雪に満たされて星も数えられない

夢現のような透明な色に
幻だと知っていても溺れる

二人の間にある細い糸を
神経と血管が取り込んでいく
指先がつながってしまうよ
もう離れられなくてもいい

断ち切ることも出来たのに
もう痛みすらそこに生じて
痛みを感じる瞬間さえ
二人が同時に振り向いて

戸惑うのもつかの間
居場所がない
君がいない

狂っていく? 狂っている?
もう遅いね、戻るには遠すぎる二人
首を傾げて困ったように微笑む君
血まみれで口づさんだ詩が綺麗だった

僕が見ているからもう寝てしまえよ
問われた罪を僕はここで食い止めよう
君のために
君のために
君のために












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