この恋、永遠に。
「明日、仕事が終わったら迎えに来るから。それを着て、待ってて」
「はい!柊二さん、ありがとう」
元気よく答える私に、柊二さんは立ち上がると、私の頭をぽんぽん、と優しく叩きながら書斎へ戻って行った。
嬉しい!綺麗なドレスを着られることも勿論嬉しいが、彼が私のために準備してくれたことがもっと嬉しい。
ダイヤモンドが埋め込まれたドレスなんて、かなり贅沢だとは思うけれど、喜ぶ私の顔を見てその顔を綻ばせる柊二さんを見ていたら、私が嬉しいと柊二さんも嬉しいのだと思った。だって、私も同じだから。柊二さんが嬉しいときは私も嬉しい。
私は彼からもらったドレスを大事にクローゼットにしまうと、途中になっていたコーヒーを淹れて書斎へ運んだ。
明日はクリスマスイブ。素敵な一日になりそうだ。
翌日は朝から雨だった。このまま降り続けたら夜には雪になるかもしれない。ニュースでもそう言っていた。本当にホワイトクリスマスになりそうだ。ロマンチックだけれど、私は少し困ったことになっていた。
今日の十七時に修理から戻ってくるはずだったフォトフレームが、トラブルでお店に届かず、少し遅れそうだと連絡が入ったのだ。予定では一時間ほど遅れるという。
一時間遅れてしまうと、柊二さんが迎えにくる時間に間に合わなくなってしまう。私は少し考えた挙句、柊二さんにはお店近くまで迎えに来てもらえるようお願いすることにした。お店は会社の近くだから、お店に行く途中に、受付に寄って柊二さんへ伝言をお願いすればいいだろう。その後私はお店に向かい、商品を受け取ったら、近くのカフェで時間を潰せばいい。
混雑することも考えて私は少し早めに家を出た。
柊二さんからプレゼントされたドレスはとても着心地が良かった。可愛い服を着ていると気分も弾む。あの事件以来ずっと調子が悪かったのが嘘のようだ。コートの中に隠れたドレスを早く彼に見てもらいたい。きっと彼はあの漆黒の目を細めて、いつものように可愛いと言ってくれるだろう。
マンションの一階でコンシェルジュの今井さんにタクシーを呼んでもらいながら、今日は柊二さんとデートなのだと、浮かれて話した。
道路はかなり渋滞していた。少し早めに出たとはいえ時間が気になって、私はソワソワと落ち着かなかった。
会社に到着したのは既に定時を過ぎる頃だった。予定より少し遅れてしまったが、ここからは徒歩だし、まだ間に合う、大丈夫。
私は久しぶりに訪れる会社のエントランスをちょっと緊張気味に抜けると、顔馴染みになっている受付の女性に声をかけた。
「お疲れさまです、渡辺ですが…」
彼女は少し驚いていたようだ。それもそうだろう。長い間会社を休んでいた人間が定時近くになって突然やってきたのだから。メールか、電話にすればよかったかもしれない。
「渡辺さん、お久しぶり。随分姿を見ないから心配していたんだけれど、大丈夫?」
受付の女性は気遣わしげに眉根を寄せた。
どうやら私の欠勤の理由などは伏せられているらしい。資材部だからと気にされていなかっただけかもしれないけれど。
「はい、ご心配をお掛けしてすみません。あの、専務に渡して頂きたいものがあるんですが…」
「はい、何でしょう?」
「はい!柊二さん、ありがとう」
元気よく答える私に、柊二さんは立ち上がると、私の頭をぽんぽん、と優しく叩きながら書斎へ戻って行った。
嬉しい!綺麗なドレスを着られることも勿論嬉しいが、彼が私のために準備してくれたことがもっと嬉しい。
ダイヤモンドが埋め込まれたドレスなんて、かなり贅沢だとは思うけれど、喜ぶ私の顔を見てその顔を綻ばせる柊二さんを見ていたら、私が嬉しいと柊二さんも嬉しいのだと思った。だって、私も同じだから。柊二さんが嬉しいときは私も嬉しい。
私は彼からもらったドレスを大事にクローゼットにしまうと、途中になっていたコーヒーを淹れて書斎へ運んだ。
明日はクリスマスイブ。素敵な一日になりそうだ。
翌日は朝から雨だった。このまま降り続けたら夜には雪になるかもしれない。ニュースでもそう言っていた。本当にホワイトクリスマスになりそうだ。ロマンチックだけれど、私は少し困ったことになっていた。
今日の十七時に修理から戻ってくるはずだったフォトフレームが、トラブルでお店に届かず、少し遅れそうだと連絡が入ったのだ。予定では一時間ほど遅れるという。
一時間遅れてしまうと、柊二さんが迎えにくる時間に間に合わなくなってしまう。私は少し考えた挙句、柊二さんにはお店近くまで迎えに来てもらえるようお願いすることにした。お店は会社の近くだから、お店に行く途中に、受付に寄って柊二さんへ伝言をお願いすればいいだろう。その後私はお店に向かい、商品を受け取ったら、近くのカフェで時間を潰せばいい。
混雑することも考えて私は少し早めに家を出た。
柊二さんからプレゼントされたドレスはとても着心地が良かった。可愛い服を着ていると気分も弾む。あの事件以来ずっと調子が悪かったのが嘘のようだ。コートの中に隠れたドレスを早く彼に見てもらいたい。きっと彼はあの漆黒の目を細めて、いつものように可愛いと言ってくれるだろう。
マンションの一階でコンシェルジュの今井さんにタクシーを呼んでもらいながら、今日は柊二さんとデートなのだと、浮かれて話した。
道路はかなり渋滞していた。少し早めに出たとはいえ時間が気になって、私はソワソワと落ち着かなかった。
会社に到着したのは既に定時を過ぎる頃だった。予定より少し遅れてしまったが、ここからは徒歩だし、まだ間に合う、大丈夫。
私は久しぶりに訪れる会社のエントランスをちょっと緊張気味に抜けると、顔馴染みになっている受付の女性に声をかけた。
「お疲れさまです、渡辺ですが…」
彼女は少し驚いていたようだ。それもそうだろう。長い間会社を休んでいた人間が定時近くになって突然やってきたのだから。メールか、電話にすればよかったかもしれない。
「渡辺さん、お久しぶり。随分姿を見ないから心配していたんだけれど、大丈夫?」
受付の女性は気遣わしげに眉根を寄せた。
どうやら私の欠勤の理由などは伏せられているらしい。資材部だからと気にされていなかっただけかもしれないけれど。
「はい、ご心配をお掛けしてすみません。あの、専務に渡して頂きたいものがあるんですが…」
「はい、何でしょう?」