この恋、永遠に。
俺に続いてエレベーターを降りる孝はここでも受付の女子社員に愛想を振りまいている。
視界に入れずに通り過ぎるスキルを持ち合わせていないのか。
脇目も振らず、真っ直ぐ歩いている俺にでさえ、女の黄色い声が聞こえてくる。
このロビーを抜けないと外に出られないのだから仕方がないが、出来ればスルーしたいものだ。
エントランスに横付けされた、磨かれた黒塗りの車の横には秘書の沢口が立っていた。後部座席の扉をさっと開けて待っている。
俺は孝を促して車に乗り込もうとした。
「おい、何やってるんだ。行くぞ」
孝を振り返ると、何やらキョロキョロとロビーを見回している。
誰かを探しているようにも見えるが、この会社に孝の知人は意外と少ない。俺と、秘書の沢口。後は俺の親父、つまり社長だけである。
ということは、こんな所に来てまで女探しだろうか?
一見すると言動が軽そうで軟派に見えるが、実のところは愛妻家だと思っていただけに、意外だった。
結婚して暫く経つと、燃え上がった恋も冷めてしまうものなのだろう。
やはり、結婚なんて枷でしかないな。
俺はまた深い溜息を吐いた。
視界に入れずに通り過ぎるスキルを持ち合わせていないのか。
脇目も振らず、真っ直ぐ歩いている俺にでさえ、女の黄色い声が聞こえてくる。
このロビーを抜けないと外に出られないのだから仕方がないが、出来ればスルーしたいものだ。
エントランスに横付けされた、磨かれた黒塗りの車の横には秘書の沢口が立っていた。後部座席の扉をさっと開けて待っている。
俺は孝を促して車に乗り込もうとした。
「おい、何やってるんだ。行くぞ」
孝を振り返ると、何やらキョロキョロとロビーを見回している。
誰かを探しているようにも見えるが、この会社に孝の知人は意外と少ない。俺と、秘書の沢口。後は俺の親父、つまり社長だけである。
ということは、こんな所に来てまで女探しだろうか?
一見すると言動が軽そうで軟派に見えるが、実のところは愛妻家だと思っていただけに、意外だった。
結婚して暫く経つと、燃え上がった恋も冷めてしまうものなのだろう。
やはり、結婚なんて枷でしかないな。
俺はまた深い溜息を吐いた。