この恋、永遠に。
 笑顔を見せた私に、高科さんは少し驚いているようだ。それでもすぐに表情を崩した。

「彼女も弱い人間なんだってことに気づいて、ね。やっぱり僕は、間違っているのかもしれないけど、そういうところに惹かれてしまうんだ」

 あの頃、私は彼のことを、自分の存在を誇示できる相手が必要なんだと思っていた。でもきっと彼は、本当に庇護欲が強いのだろう。例えそれで自分が優越感を得ているとしても、最終的に相手を守りたいという気持ちに嘘はないのかもしれない。

「それはやっぱり、高科さんの長所ですよ。大切にしてあげてくださいね」

 私が微笑むと、彼は力強く頷いた。




「疲れた?」

「はい、少し」

 パーティーを終え、私と柊二さんは帰宅した。以前住んでいたマンションではない。彼は新しく家を建てたのだ。家を建てると聞いたとき、いろんな希望は聞かれたけど、詳しくは教えてもらえなかった。だから今日、私は初めて新居を見る。

 高くそびえる本宮商事の本社ビルが道路のはるか右手に見えるその場所に、新居はあった。車が近づくとガレージの扉が開き、柊二さんはそこに車を停める。

 ガレージの中と玄関は続いているようだ。玄関に入ると、二階へ上がる広々とした階段の他に、地下へ降りる階段もあった。その隣にはエレベーター。柊二さんのことだ、恐らく私の足のことを考慮してくれたのだろう。
 廊下の奥には書斎と応接室がある。
 リビングに入るとやはり広かった。暖炉のあるその部屋は優に四十畳はある。けれど広さ的には以前のマンションと同じくらいだろうか。キッチンとダイニング、リビングから寝室に繋がっている間取りも前とほぼ同じだ。以前のマンションでも贅沢すぎるくらいだったし、不自由はなかったのに、彼はどうして新居を建てたのだろう。

「美緒、おいで」

 呼ばれて向かったのは二階。柊二さんは私をエレベーターに乗せた。二階には広々とした部屋が四部屋用意されていた。エレベーターを降りたところに、バスルームがある。
 この家は柊二さんと私が二人で住む予定の家だ。義父母はここから車で三十分程の場所で暮らしている。

「たくさん部屋がありますね」

 部屋数を見て率直な感想を私が漏らすと、彼が背後でくすりと笑う声がした。

「これから必要になるだろう?」

「これから?」

 私が首を傾げる。すると彼が私を後ろから抱きしめた。顎を私の頭に軽く乗せたまま囁く。

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