この恋、永遠に。

「え〜？どうしてですか？やっぱり忙しいとか？」

「う、うん…それもあるけど……」

　私の煮え切らない態度に、萌ちゃんは眉をひそめた。

「何か、あったんですか？」

　萌ちゃんは真っ直ぐ私の目を見ると、声のトーンを落とす。
　私はグイとビールを飲んだ。

「ん…実は…、私、この前彼を怒らせてしまったみたいで……連絡がないの」

「この前って、いつぐらいなんです？」

　気づけば、今まで黙って聞いていた晃くんが真剣な表情で私を見ていた。

「ほら、先週偶然二人に会ったじゃない。あの時よ」

　二人が顔を見合わせた。首を傾げている。

「でもあの時、先輩たち、仲良さそうにみえましたよ？」

「萌は酔っ払ってたじゃないか。覚えてるのかよ」

「失礼ね！覚えてるわよ！」

　萌ちゃんが晃くんの腕をバシンと強く叩いた。晃くんは顔をしかめながら腕をさすっている。

「あの時は、ね。その後でちょっと……理由が私にも分からなくて……」

　話していると、涙が出そうになってくる。実はこんなにもショックを受けていたのだ。
　私は必死に涙を堪えた。後輩の前で泣くなんて恥ずかしい。

「う〜ん……あんな大企業の専務なんだし、ただ単に忙しいだけなんじゃないですか？」

「………」

　涙を堪えるのに必死で声が出せない。涙が零れないように、私は上を向くと再びビールを煽って誤魔化した。

「とりあえず、今日は飲もうよ、先輩！ここで悩んでても仕方ないし、今度ちゃんと本人に聞いた方がいいですよ！」

「俺は元々、美緒先輩さえ来てくれればいいと思ってたから。無理に誘う必要なんてないし」

　萌ちゃんの明るい励ましが嬉しかった。
　晃くんにまで気を遣わせてしまっている。
　私は照れ隠しに笑うと、勧められるまま、かなりのペースで飲んだ。

　途中で体がフワフワとしていい気分になっていることは分かっていた。飲みすぎかなあ、と認識することも出来ていた。
　そこであと少し、と飲んだお酒がいけなかったのかもしれない。
　記憶がなくなるほど飲んだのは、これが初めてだった。