この恋、永遠に。
「本宮さん…」

「柊二だよ、美緒」

 本宮さんが訂正した。

「そ、それは……」

 呼んでもいいの?名前で?会社の専務なのに?
 そもそも私は自分を偽ったままだ……。

「美緒、呼んでくれないの?」

 私の瞳を覗き込み、柔らかく微笑んでくれる。彼の瞳に映っているのは紛れもなく私で…私の瞳にも彼が映っているはずだ。

「しゅ……柊二…さん」

「うん」

 熱を帯びた顔で、その名を小さな声でそっと呟く。口に出して呼んでみると、とても気恥ずかしい。
 再び私は彼の腕の中に閉じ込められた。

「もう一度、呼んで?」

 甘い催促に私は今度ははっきりと口にした。

「柊二さん……」

「美緒……」

 私の名前が甘く響く。ゆっくりと彼の顔が近づいた。ふわりと彼の香りが漂ったかと思うと、柔らかくてあたたかい感触。
 私と柊二さんの唇が重なった。

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