この恋、永遠に。
「美緒?起きられる?」

 美緒の肩を軽くゆさぶってみる。小さな肩がぴくりと動いた。

「美緒?」

 彼女はゆっくりとテーブルから頭をもたげると、定まらない視点を俺に向ける。目の縁が少し赤くなっていた。

「あ…本宮さん?」

 眠いのか、潤んだ瞳で微笑む彼女を唐突に押し倒したくなるのを、かろうじて堪える。
 俺は彼女に顔を近づけると、耳元で囁いた。

「美緒、今日はもう遅いし、眠いだろう?俺と一緒に帰ろう」

 頭を優しく撫でてやると、彼女は子猫のように、気持ちよさそうにされるがままになっている。コクン、と小さく頷いた。
 従順な彼女に、俺の征服欲が掻き立てられる。

 美緒を立ち上がらせ、その細い腰に腕を回す。彼女が俺に体を預けるのを感じながら、俺たちの様子を黙って見ていた双子にお礼を言った。

「あ、本宮さん!」

 美緒を連れて歩き出そうとしたところで、双子の姉の方に呼び止められた。

「美緒先輩にはさっき話したんですけど」

 そう前置きしてから彼女は話し始める。

「来年一月に、私と晃の誕生日パーティーがあるんです。美緒先輩には毎年来てもらってるんですが、もし良ければ今回は本宮さんも一緒に来て頂けませんか?」

「僕?」

「はい。美緒先輩のパートナーとして」

 満面の笑顔で俺を誘う姉に、弟の方は苦虫を噛み潰したような渋面を作った。
 双子の誕生日パーティー…。ということは、コイツの元に美緒を行かせることになるわけだ。
 それなら返事は一つしかない。

「…分かった。喜んで二人で伺うよ」

「ありがとうございます!よかった〜。まだ先ですけど、詳しいことは美緒先輩から聞いて下さい」

 笑顔で手を振ってくれる姉と、憮然と突っ立ったままの弟に別れを告げる。
 半分寝てしまった美緒を抱き上げた俺は停めてあった車の助手席に美緒を寝かせると俺の自宅へと車を走らせたのだった。



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