この恋、永遠に。
意外な関係
ハロウィンが終わると街はクリスマスムード一色になる。通りのショップにはそれぞれクリスマスのイルミネーションが施され、夜になると駅前の大きなツリーや植木も色とりどりにライトアップされて街行くカップルを魅了している。
もうすぐクリスマス。
柊二さんは相変わらず忙しそうで、学生のカップルのように頻繁に会うことは出来ない。それでも彼は忙しい合間を縫って連絡をくれるし、時間が取れるときは食事に誘ってくれたりもする。たった一、二時間しか会えないのは少し寂しいけれど、彼は会うといつも私をとても甘やかしてくれる。
今年のクリスマスは平日だから、デートは出来ないかもしれない。彼からも、クリスマスの話は出ていない。私も忙しい彼に自分からクリスマスの話を持ち掛けることはできないでいる。
それでも、もしかしたら、という淡い期待がある。
仕事を終えた私は、駅とは反対方向のショップが立ち並ぶ通りに向かった。柊二さんに何か喜んでもらえるようなクリスマスプレゼントを用意したい。
時折吹く冷たい風に肩をすくませながら、私は通りのショップを一軒一軒ゆっくりと眺めていった。
数日前から急に身を切るような寒さになった。クリスマスに雪は降るだろうか。大人になってから雪が降るのを楽しみにしたのは初めてかもしれない。
子供の頃はあんなにワクワクしたのに、大人になると現実ばかりをみるからだ。足元は滑るし危険で靴も汚れる。電車は止まるし、バスは来ない。第一とても寒い。
こんな私が大学時代スキーサークルに入っていたなんて誰が信じるだろう。
でも、今年は少し違う。雪が降る中を柊二さんと肩を並べて歩いてみたい。窓辺で寄り添いながら降り積もる雪を眺めてみたい。彼といると嫌いなものまで好きになるから驚きだ。
私はお気に入りの真っ白のマフラーを口元まで隠すように巻き、あれこれ思いを巡らせた。
好きな人へのプレゼントを考えるなんて、初めてのことだ。たくさんのショップがクリスマス用に様々な商品をディスプレイしているのを見ていると、目移りしてしまう。こんな時間でさえ楽しくて仕方がない。彼と離れているときも、彼のことを考えるだけで幸せな時間に変わる。
マフラーや手袋、ネクタイやネクタイピン、時計やカフスボタン。いろいろ見て回ったが、これと思えるようなものがない。
そもそも柊二さんが身に着けているものは一流のものばかりだ。私のお給料で買えるものなど、たかが知れている。
でも喜んでもらいたい、と思うのは当然で…。
そんなことをあれこれ考えながら歩いていたとき、アンティークショップのウィンドウに飾ってあったフォトフレームが目に入った。
以前、柊二さんの家に泊めてもらったとき、生活感のない部屋だと思った。まるでモデルハウスのように綺麗で整頓されていたが、そこには人の温もりがなかった。もちろん、彼のベッドからは彼の匂いがしたし、彼のお気に入りのものはちゃんとあった。例えばコーヒー。例えばワイングラス。けれどそこに彼はいなかった。
「二人の写真を飾って欲しいなんて、やっぱり図々しいかな…」
私はウィンドウに飾られている、アンティークなフォトフレームに見入っていた。最近ではデジタルフォトフレームが主流なのかもしれないが、私はやっぱりこういう昔ながらのものが好きだ。本当に気に入った一枚を飾りたい…。
でも、これじゃあ柊二さんの欲しいものじゃなくて、私が欲しいものになっているのかも。
私はウィンドウごしにそれをじっと見つめていた。
もうすぐクリスマス。
柊二さんは相変わらず忙しそうで、学生のカップルのように頻繁に会うことは出来ない。それでも彼は忙しい合間を縫って連絡をくれるし、時間が取れるときは食事に誘ってくれたりもする。たった一、二時間しか会えないのは少し寂しいけれど、彼は会うといつも私をとても甘やかしてくれる。
今年のクリスマスは平日だから、デートは出来ないかもしれない。彼からも、クリスマスの話は出ていない。私も忙しい彼に自分からクリスマスの話を持ち掛けることはできないでいる。
それでも、もしかしたら、という淡い期待がある。
仕事を終えた私は、駅とは反対方向のショップが立ち並ぶ通りに向かった。柊二さんに何か喜んでもらえるようなクリスマスプレゼントを用意したい。
時折吹く冷たい風に肩をすくませながら、私は通りのショップを一軒一軒ゆっくりと眺めていった。
数日前から急に身を切るような寒さになった。クリスマスに雪は降るだろうか。大人になってから雪が降るのを楽しみにしたのは初めてかもしれない。
子供の頃はあんなにワクワクしたのに、大人になると現実ばかりをみるからだ。足元は滑るし危険で靴も汚れる。電車は止まるし、バスは来ない。第一とても寒い。
こんな私が大学時代スキーサークルに入っていたなんて誰が信じるだろう。
でも、今年は少し違う。雪が降る中を柊二さんと肩を並べて歩いてみたい。窓辺で寄り添いながら降り積もる雪を眺めてみたい。彼といると嫌いなものまで好きになるから驚きだ。
私はお気に入りの真っ白のマフラーを口元まで隠すように巻き、あれこれ思いを巡らせた。
好きな人へのプレゼントを考えるなんて、初めてのことだ。たくさんのショップがクリスマス用に様々な商品をディスプレイしているのを見ていると、目移りしてしまう。こんな時間でさえ楽しくて仕方がない。彼と離れているときも、彼のことを考えるだけで幸せな時間に変わる。
マフラーや手袋、ネクタイやネクタイピン、時計やカフスボタン。いろいろ見て回ったが、これと思えるようなものがない。
そもそも柊二さんが身に着けているものは一流のものばかりだ。私のお給料で買えるものなど、たかが知れている。
でも喜んでもらいたい、と思うのは当然で…。
そんなことをあれこれ考えながら歩いていたとき、アンティークショップのウィンドウに飾ってあったフォトフレームが目に入った。
以前、柊二さんの家に泊めてもらったとき、生活感のない部屋だと思った。まるでモデルハウスのように綺麗で整頓されていたが、そこには人の温もりがなかった。もちろん、彼のベッドからは彼の匂いがしたし、彼のお気に入りのものはちゃんとあった。例えばコーヒー。例えばワイングラス。けれどそこに彼はいなかった。
「二人の写真を飾って欲しいなんて、やっぱり図々しいかな…」
私はウィンドウに飾られている、アンティークなフォトフレームに見入っていた。最近ではデジタルフォトフレームが主流なのかもしれないが、私はやっぱりこういう昔ながらのものが好きだ。本当に気に入った一枚を飾りたい…。
でも、これじゃあ柊二さんの欲しいものじゃなくて、私が欲しいものになっているのかも。
私はウィンドウごしにそれをじっと見つめていた。