この恋、永遠に。
「あれ?」
背後で声がした。最初はそれが私に掛けられた言葉だと思わなかった。だから私はウィンドウの向こうにあるフォトフレームに視線を向けたままでいたけれど、次に名前を呼ばれて私は振り向いた。
「美緒ちゃん?」
「え?」
「あ、やっぱり!」
私の目の前で笑う彼は少し色素の薄い柔らかそうな猫っ毛に、甘い顔立ちのいい男だった。柊二さんほどではないが背も高く、小さい私は見上げるようにしなければならない。
その男性と目が合って私は小首を傾げた。
「えっ……と……?」
誰だろう?何処かで見たことがある気がするのだけれど。私の名前を知っているのだから、知り合いなのは間違いない。
声を掛けてきたこの男性のことを、私が分からないのが伝わったのだろう。美緒ちゃん、と私を呼んだその人がくすりと笑った。
「分からない?」
「………」
思わず警戒心を剥き出しにして後ずさる。
私の知り合いにこんなにカッコイイ男の人はいない。勿論、柊二さんを除いて、だけれど。
「だ、誰ですか?」
冷たい空気に晒されていたからなのか、それとも怯えていたのか分からないが、声がかすれてしまった。
「そんなに警戒しなくてもいいよ。孝って言ったら思い出してくれる?」
私のあからさまな態度に、孝と名乗った人物が苦笑する。
孝…たかし…。私は記憶の糸を手繰り寄せた。
「ほら、小さい頃君はいつも僕の後ろに隠れていた……」
「あっ……」
「思い出した?」
思い出した。私はコクコクと頷いた。
まだ小学生だった頃、当時住んでいた家の隣のお兄さん。人見知りで友達も出来ずにいた私にいつも優しくしてくれた孝くん。
「孝くん」
改めて名前を口にすると違和感があった。当時私はまだ小学生に上がったばかりで、彼は高校生だった。どれくらい歳が離れているのかなど気にする年頃でもなく、私は無邪気に彼のことを名前で呼んでいた。
けれど大人になって再会し、素敵な男性になった彼に『孝くん』は失礼ではないだろうか。
背後で声がした。最初はそれが私に掛けられた言葉だと思わなかった。だから私はウィンドウの向こうにあるフォトフレームに視線を向けたままでいたけれど、次に名前を呼ばれて私は振り向いた。
「美緒ちゃん?」
「え?」
「あ、やっぱり!」
私の目の前で笑う彼は少し色素の薄い柔らかそうな猫っ毛に、甘い顔立ちのいい男だった。柊二さんほどではないが背も高く、小さい私は見上げるようにしなければならない。
その男性と目が合って私は小首を傾げた。
「えっ……と……?」
誰だろう?何処かで見たことがある気がするのだけれど。私の名前を知っているのだから、知り合いなのは間違いない。
声を掛けてきたこの男性のことを、私が分からないのが伝わったのだろう。美緒ちゃん、と私を呼んだその人がくすりと笑った。
「分からない?」
「………」
思わず警戒心を剥き出しにして後ずさる。
私の知り合いにこんなにカッコイイ男の人はいない。勿論、柊二さんを除いて、だけれど。
「だ、誰ですか?」
冷たい空気に晒されていたからなのか、それとも怯えていたのか分からないが、声がかすれてしまった。
「そんなに警戒しなくてもいいよ。孝って言ったら思い出してくれる?」
私のあからさまな態度に、孝と名乗った人物が苦笑する。
孝…たかし…。私は記憶の糸を手繰り寄せた。
「ほら、小さい頃君はいつも僕の後ろに隠れていた……」
「あっ……」
「思い出した?」
思い出した。私はコクコクと頷いた。
まだ小学生だった頃、当時住んでいた家の隣のお兄さん。人見知りで友達も出来ずにいた私にいつも優しくしてくれた孝くん。
「孝くん」
改めて名前を口にすると違和感があった。当時私はまだ小学生に上がったばかりで、彼は高校生だった。どれくらい歳が離れているのかなど気にする年頃でもなく、私は無邪気に彼のことを名前で呼んでいた。
けれど大人になって再会し、素敵な男性になった彼に『孝くん』は失礼ではないだろうか。