この恋、永遠に。
 柊二さんの眉がピクリと上がった。もしかして、余計なことも言ってしまった?
 けれど、高科さんと食事に行ったことは事実だ。これ以上黙ったままでいたくない。柊二さんに隠し事は、もうしたくない。

「少し前に誘われて…その、断れなくて……」

「……そう」

 柊二さんが小さな溜息を漏らした。怒らせてしまったかもしれない。私はベッドに座ったまま俯き、膝の上で両手を握り締めた。

「美緒は、どうなの?」

 柊二さんが私の握り締めた両手に、そっと左手を重ねてきた。彼の手の甲に、出来たばかりの爪痕がある。血は出ていないがまだ生々しい傷痕だ。

「あの、柊二さん……その手……」

「ああ、こんなのは平気だ。それより美緒、君は高科のことをどう思っているの?君は彼のことが好きなの?」

「ち、違います!高科さんは、ただの会社の先輩で……私が好きなのは…」

「…好きなのは?」

「あの……」

 柊二さんが私にぐっと顔を近づけた。

「言って?美緒は、誰が好きなの?」

 耳元で囁くように私に催促をする。私の体がぞくりと粟だった。私の答えを分かって言っているのだ。

「私は、しゅ、柊二さんが……好きです」

「…うん」

「……でも、私はずっと柊二さんに嘘を……」

「…うん。今日、会社で美緒に会ったときは…驚いたよ……」

 柊二さんの声のトーンが下がった。彼は相変わらず優しいけれど、やはり騙されていたとなれば、気分のいいものじゃないだろう。そんなの、私だって嫌だ。
 本当のことを言おうと決心したはずなのに、数日前の柊二さんに寄り添う女性の姿がちらついて、目の前の現実から逃げていた。…でも、こんなのは言い訳だ。私が彼を騙していたことに、変わりはない。
 私は俯くと、ぎゅっと歯を食いしばった。彼からどんなに責められてもそれは当然だ。

「美緒、顔を上げて?」

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