この恋、永遠に。
二人のはじまり
目尻に少し皺を寄せて穏やかに笑う彼に非の打ち所はなかった。
勢い良く立ち上がった私の腕をさり気なく掴むと、軽く引き寄せる。
引力に従った私の体は、本宮専務の腕の中にスッポリと納まった。
「美緒先輩!」
晃くんや萌ちゃんが驚いて立ち上がる。
「てめっ、美緒先輩を離せ!」
激昂した晃くんを本宮専務は一瞥し、そのまま私の肩を抱いた。
「盛り上がっているところ申し訳ないが、彼女は貰うよ」
まるで物のように扱われている気がするのに、何故かそれが心地良く響く。
本宮専務は何がしたいのだろう。私のことをみんなにバラす気ではないらしいことは、すぐに分かった。
「いいね?」
どうやら私の同意が必要らしい。耳元で囁かれたその言葉に私はすぐさま反応し、コクコクと頷いた。
そのまま彼に促され店を後にする。背後から後輩の女の子たちがほうっと憂いの溜息を吐くのと、晃くんが大きな声で何か叫んでいるのが聞こえてきた。
店を出ると、本宮専務は通りに待たせてあったらしい綺麗に磨かれた黒い高級車に私を促した。私が乗り込むと、彼も私の隣に腰を下ろし、運転手に何か指示を出している。
革張りのシートはいかにも高級車らしく、私の体をすっぽり包み込むようで座り心地がいい。こんなに緊張していなければ、眠ってしまいそうだ。
だが、シートの感触に感動していた私は、彼からされた不意の質問に一瞬固まった。
「君は学生?成人しているの?」
本宮専務は私を知っていて、声を掛けてきたわけではなかったのだ。
そして、私のことを学生だと思っている。
学生ではないのだから、否定しなければ。でも、何て?同じ会社です、とは言いづらい。
「……はい」
咄嗟に出たのは肯定の言葉。私は嘘を吐いてしまった。彼が頷く。
「今日はもうだいぶ遅い時間だが、君の明日は早い?」
「…そうですね」
「そう。いつもこんな時間まで?」
毎日遅くまで遊び歩いていると思われたのだろうか。チラリと横目で見られて、私は慌てて首を振った。
「今日はたまたまです。誘われて…。普段はあまり出掛けないので」
勢い良く立ち上がった私の腕をさり気なく掴むと、軽く引き寄せる。
引力に従った私の体は、本宮専務の腕の中にスッポリと納まった。
「美緒先輩!」
晃くんや萌ちゃんが驚いて立ち上がる。
「てめっ、美緒先輩を離せ!」
激昂した晃くんを本宮専務は一瞥し、そのまま私の肩を抱いた。
「盛り上がっているところ申し訳ないが、彼女は貰うよ」
まるで物のように扱われている気がするのに、何故かそれが心地良く響く。
本宮専務は何がしたいのだろう。私のことをみんなにバラす気ではないらしいことは、すぐに分かった。
「いいね?」
どうやら私の同意が必要らしい。耳元で囁かれたその言葉に私はすぐさま反応し、コクコクと頷いた。
そのまま彼に促され店を後にする。背後から後輩の女の子たちがほうっと憂いの溜息を吐くのと、晃くんが大きな声で何か叫んでいるのが聞こえてきた。
店を出ると、本宮専務は通りに待たせてあったらしい綺麗に磨かれた黒い高級車に私を促した。私が乗り込むと、彼も私の隣に腰を下ろし、運転手に何か指示を出している。
革張りのシートはいかにも高級車らしく、私の体をすっぽり包み込むようで座り心地がいい。こんなに緊張していなければ、眠ってしまいそうだ。
だが、シートの感触に感動していた私は、彼からされた不意の質問に一瞬固まった。
「君は学生?成人しているの?」
本宮専務は私を知っていて、声を掛けてきたわけではなかったのだ。
そして、私のことを学生だと思っている。
学生ではないのだから、否定しなければ。でも、何て?同じ会社です、とは言いづらい。
「……はい」
咄嗟に出たのは肯定の言葉。私は嘘を吐いてしまった。彼が頷く。
「今日はもうだいぶ遅い時間だが、君の明日は早い?」
「…そうですね」
「そう。いつもこんな時間まで?」
毎日遅くまで遊び歩いていると思われたのだろうか。チラリと横目で見られて、私は慌てて首を振った。
「今日はたまたまです。誘われて…。普段はあまり出掛けないので」