この恋、永遠に。
 慌てて出てきたせいでエプロンをしたままだった。それに気づいて急いでエプロンを外そうとしたところで、柊二さんに抱きしめられてしまう。彼の爽やかな香水の香りが鼻腔を刺激した。

「あ、あの、柊二さん、汚れてしまいますよ」

「ん……平気。エプロン姿も可愛いね?」

 ちゅっとリップ音を響かせてこめかみにキスを落とされた。私があたふたしている間にさらりとこういうことが出来る柊二さんはやはり慣れている。ほんの少しの嫉妬が頭をもたげるが、それよりも大きな包容力で彼は私を包んでくれている。
 彼のコートを玄関脇のクローゼットに掛け、上着と鞄を受け取りながらリビングへと向かった。作ったばかりのお味噌汁の匂いが漂っている。

「ご飯、作ってくれたんだ」

「はい、簡単なものばかりですけど…」

「すごく美味しそうだ。美緒の手料理、楽しみだな」

 柔らかく微笑んだ彼は今度は唇にキスを落としてくれた。もう何度も交わしているキスなのに、未だ慣れることのない私は、相変わらず顔を赤らめて照れてしまう。照れているだけじゃ駄目だとは思うけれど、まだ慣れそうもない。

「しゅ、柊二さん、お腹空いてますよね?ご飯にします?」

「うん、そうだね」

「じゃあ、着替えてきてください。それまでに準備をしますから」

 私は慌てて彼の寝室へ行き、上着を掛けると鞄をライティングデスクの上に置く。ちょこまかと動く私を目を細めながら眺めていた柊二さんは、ゆっくり寝室へ入ってくるといきなりシャツを脱ぎ始めてしまった。彼の逞しい胸板や、引き締まったウエストラインが視界に入り、私はドギマギしてしまう。直視できなくて視線を斜め下に逸らしてしまった。

「美緒」

「は、はい」

 名前を呼ばれても彼の姿を見ることが出来ない。顔を真っ赤にさせて突っ立ったままの私は両手でエプロンをぎゅっと握り締めた。

「まだ、恥ずかしい?」

 上半身裸になった彼が私との距離を詰める。片手で顎をくい、と持ち上げられた。

「あ、あの……」

「もっと恥ずかしいこと、したのに?」

< 84 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop