この恋、永遠に。
 箱の中には、見た事もないくらい大きなハート型にカットされたダイヤの指輪が入っていた。よく見るとリング部分にも小さなダイヤが埋め込まれていて、少し色が違うようだ。これは……、これって…………。
 じっと指輪を見つめたまま声を出せないでいる私に、柊二さんは横からすっと手を伸ばして中に入っていた指輪を掴んだ。
 そして私の左手を取り上げると、真っ直ぐに私を見据える。

「ずっと考えていたんだ……」

 彼が右手の親指で私の左手薬指をすっと撫でた。

「………美緒、結婚して欲しい。俺と。この先ずっと一緒にいるのは、君以外考えられない」

 突然のプロポーズだった。彼とずっと一緒にいたい、と願ったけれど、まさかこんなに突然彼の方からプロポーズされるとは思ってもいなかった。
 嬉しくて、幸せで、胸が詰まって声にならない。右手で目頭を覆い、零れる涙を我慢するのがやっとだ。窓の外の煌く夜景も、目の前の愛しい彼の顔も、何もかもがぼやけてしまう。そしてその我慢がついに零れた。頬を温かいものが伝って落ちる。

「美緒、返事を………聞かせて欲しい」

「柊二……さ、ん……っ」

 涙は嗚咽に変わった。彼が私を優しく抱き寄せる。

「ほ、んとっ……にっ?わ……たしっ………」

「美緒がいいんだ」

「わ、わたっ……し………」

「……美緒、イエスと言ってくれるかい?」

 柊二さんがこれ以上ないくらい甘い眼差しで私の涙で潤みきった瞳を覗き込んできた。私は声を出すことができなくて、コクコクと何度も首を縦に振る。
 彼がほっと息を吐くのが聞こえた。ふわりと微笑む彼は小さい頃に絵本でみた童話に出てくる王子様のようだ。

「美緒、愛しているよ。一生、大事にする、約束するよ……」

「柊二さ……ん……」

 彼は私に長い長い甘いキスをしてから、私の左手薬指に、その輝く指輪をそっとはめてくれた。
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