イジワル王子の甘い嘘
「あ、愛斗くんっ!カバン、自分で持つ……」
「莉奈はそういうの気にしなくていいから。帰るぞ」
愛斗くんは私の言葉を無視して、自分だけ教室を出て行く。
やさしさなのか、ただ単に私にイジワルしたいだけなのか。
私がこんなオドオドした性格だから、きっとイジメたいんだろうね。
「待って、愛斗くん……!」
「オドオドしないで早く来い」
私が愛斗くんを追いかけようとすると、教室に突然女の子が入って来た。
愛斗くんみたいに、部活終わりの子かなあ……?
じゃなくて!
愛斗くんとふたりきりでいるところを見られたらまずい!
顔が真っ青になる中で、足が動かなくなる。
女の子は私を一瞬だけ睨んできたあと、愛斗くんににこやかに話しかけてきた。