イジワル王子の甘い嘘
「お疲れ様、王子ー!今から帰るの?」
「ああ。コイツ連れて今から帰る」
コイツ、と言われて視線を向けられるのは、もちろん私。
あああっ!!
お願いだから、火に油を注がないで!愛斗くん!!
あの子のこわーい目つきに気が付いてよ!愛斗くん!!
子羊のようにあわあわ震える私をよそに、愛斗くんの暴走はとまらない。
「コイツと俺、昔からの幼なじみでさ。家も隣だから出来るだけ一緒に帰るようにしてんの。目を離したら何しでかすか分かんないしな」
「へー。そうなんだ……」
女の子の私に向けられる視線は、嫌悪感丸出しのものになっていた。
明日からの仕打ちを考えて、身体が震えてしまう。
もう耐えられなくなって、私は思わず愛斗くんと女の子を追い越して、走って教室を出てしまった。
「おい、莉奈!!」
「ごめん、先帰るねっ……」