イジワル王子の甘い嘘
こんな嘘つきの私を、信じられないような目つきでみる愛斗くんに、胸が痛くなる。
「莉奈の嘘バレバレなんだけど」
「えっ……」
「なんかあった?」
「べつに、何も……」
「嘘つくな。莉奈が本当のこと話すまで、絶対にお前から離れねぇからな」
真剣な表情の愛斗くんに、迷惑を掛けていることが恥ずかしくてたまらない。
私なんて、愛斗くんとは程遠い存在の人間なのに。
「もう学校では、私に必要以上に話しかけないでほしいの」
「は?なんでだよ?」
「いつも言ってるでしょ?だから、もう一緒に通学したりしたくないの」
本当のことは、話せない。
私が“愛斗くんの幼なじみ”だから、女子たちから嫌われてるってこと。
そんなこと言ったら、きっと愛斗くんはすごく悲しんで、私を今以上に守ってくれると思う。
私は、愛斗くんから自立して、1人で生きれるようになりたいの。