イジワル王子の甘い嘘
少しの沈黙があって、愛斗くんが口を開いた。
「莉奈……好きなやつでもいんの?」
「え……?」
「好きな男が出来たから、そいつに見られたくないってこと?」
愛斗くんは、不機嫌そうに顔を歪ませていた。
え、もしかして怒らせちゃった?
「好きな人はいないけど……」
「じゃあなんで一緒にいたくないとか言うんだよ」
「だって愛斗くん王子だし、私なんかがそばにいたら、釣り合わないから……」
だって、自信ないんだもん。
女子たちからの悪口に耐えられる自信がない。
「俺、王子じゃねぇよ?」
「愛斗くん……」
「王子は周りが勝手に言いだしてる架空の存在だろ。俺は王子だと思ってない」
俯く私の頭を、愛斗くんは優しく手のひらで撫でてくれる。